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Fig.2 Particle-size distribution of quartz from deep-sea core and Loess in China.

た石英を乾燥させ、重量を測定して堆積物中の石英含有量を求めた。なおX線回折装置を用いて残渣に石英以外の鉱物が残っていないかを確認を行った。
抽出された石英の粒度分析には、レーザ回折散乱式湿式粒度分析器(島津製作所; SALD−2000A)を用いた。レーザ方式による粒度分析器を用いる利点として、再現性が良い測定が迅速に行え、また測定精度が高いことが挙げられる。分散剤には温度を0.05%に調節したヘキサメタリン酸ナトリウムを用いた。また超音波による分散を測定前に10分間行った。測定時の粒子濃度は一定にし、測定はすべて同一条件下で行った。なお測定誤差は、同一試料の10回の測定で±0.15μmである。また走査型電子顕微鏡を使用して石英の形状観察を行った。
4. 測定結果
4.1 海洋底コアの石英の粒度分布石英の粒度分布は、表層試料で代表される中央粒径値が8.5φ、標準偏差が1.9φの突な対数正規分布(Fig.2a)から、粗粒粒子が多くなることにより中央粒径値が7.8φ、標準偏差が2.5ψとなだらかな対数正規分布(Fig.2b)まで変化した。その他の試料は上記の両者の中間の分布を示し、その多くは前者の突な対数正規分布に近く、わずかに7φより粗粒粒子側が膨らんだ分布を示した。
4.2 海洋底コアの石英の形状表層試料の石英粒子の形状は、角がとれた米粒状の粒子が多いが、角張り不規則な粒子もかなりみられる。石英の形状から、風送塵起源であるかどうかはわかりにくい。また粒度分布がなだらかな対数正規分布を示す8.5万年前の石英については、10μmを越える大きな粒子に鋭利かつ不規則な形状を示す石英が非常に多く見られた。
4.3 海洋底コアの石英の含有量堆積物から抽出した石英の含有量は、2.1〜10.2%の変動幅で、その平均は4.8%であった(Fig.3c)。この変動の傾向は、約41〜85%で変動する炭酸塩含有量と逆相関の関係にある。石英含有量が高い値を示す時代は、約1〜3万年前、5.5〜8万年前、9万年前、前であった。
4.4 海洋底コアの石英の沈積流量石英の含有量に乾燥密度と堆積速度を乗じた石英の沈積流量は、2.4〜127mg cm-1 kyr-1の変動幅で、その平均は67mg cm-1 kyr-1であった(Fig.3d)。変動傾向は約1〜3万年前、6〜8万年前、8.5万年前で増加を示した。
4.5 海洋底コアの石英の中央粒径値の変動石英の中央粒径値の時系列変動は、8.6〜8.0φの変動幅で、その平均は8.3φであった(Fig.3e)。中央粒径値が増加するのは、石英の粒度分布が粗粒粒子に偏った分布を示す試料で見られた。
4.6 中国レス石英の粒度分布レス石英の粒度分布(Fig.2c)は、対数正規分布にほぼ近い分布を示し、対数正規一分布関数との相関係数は0.98であった。対数正規分布関数での回帰後の標準偏差は1.8φであり、中央粒径値は4.5φであった。
5. 考察北太平洋のほぼ中夫に位置するヘス海膨は、ユーラシア、北アメリカ両大陸から非常に遠く離れているばかりでなく、周辺の海底より水深が1000〜2000m程度浅いことから、大陸河川からの流入物による寄与は無視しうる位小さいものと考えられ、その多くが大陸を起源とする風送塵起源であることが考えられる。しかしながら、

 

 

 

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